ある日、食関係のプロジェクトが多いクラウドファンディング「Makuake」を見ていたら、博多の高級明太子を食べくらべられるプロジェクト発見。その名は「博多の辛子明太子【稚加栄・椒房庵・島本】が共演!採算度外視の世にも贅沢な味くらべ」。
「稚加栄!? 椒房庵!?」
稚加栄は料亭の贅沢な明太子として知られています。うちの近所の高級食品スーパーで扱っていたので、数回買って食べたことがありました。
椒房庵は、食通の友人から博多の地元の人の間でも評判が高い明太子だと聞いて、福岡出張の際に空港で購入。以降、味にほれて、出張のたび、あるいは九州展などに出店しているのを発見するたび買ってきました。福岡出張の際には、JR博多シティにある「めんたい料理 博多 椒房庵」にも行って食べました。
「島本???」
わたしは島本だけ知りませんでした。福岡にはこの十年で十回くらい出張で行っており、博多駅ビルや空港にある食の有名店は一通り把握しています。でも、この名は知りませんでした。そしてMakuakeで「匠3社の切れ子味比べ560g」を応援購入した際には、なぜ、島本がわたしの知るところにならなかったのか、わかっていませんでした。
しかし、届いて味比べしてみたら
「え? 島本、おいしいじゃん!?」
そののち、島本について知る機会があり、美味な高級明太子ブランドなのに、わたしが知らなかった理由がわかりました。
目次
3社の明太子の味を較べてみた結論は……
届いたその晩、さっそく、3社の明太子を食べ比べました。お皿に乗っている明太子は左から稚加栄、椒房庵、島本です。今回のプロジェクトのために作られた特別商品もあるので、ふだんの各ブランドとは少し味がちがいましたが、結論から書くと……
「稚加栄」の明太子は料亭の出汁勝負の明太子。
「椒房庵」もやはり出汁を重視しつつ、原料のたらこにもこだわり、辛さ控えめの明太子。
初めて食べた「島本」は、辛さ、うまさのバランスがよく、たらこ自体のおいしさが最も味わえる明太子。
この後、各社の明太子について、詳しく書きます。
料亭稚加栄は、今回だけ国産たらこを使った贅沢明太子
プロジェクトのページで、稚加栄は
「国産のたらこでつくる明太子は今回が最後かもしれない」
と語っています。
そう、実は稚加栄は現在、ふだん売っている明太子の原材料は「すけとうだらの卵(アメリカ産)」です。国産たらこは使っていません。
料亭は一般の人が入りにくいイメージがありますが、実は今回の3社の中で、最も全国で買いやすい明太子が稚加栄です。「日本全国どこでも……」というわけではありませんが、稚加栄の明太子が時折入荷する百貨店が、東京や大阪にあります。1週間など期間を絞った一時的なデパート出店も見かけます。
「地元福岡の醸造元で個の明太子のために仕込んだ日本酒を時間をかけて煮切り、鹿児島・枕崎の鰹節と最も辛くて香り豊かと言われる「本鷹の爪」の一味唐辛子を贅沢に付け込むなど、料亭ならではのひと手間に満ちています」
(クラウドファンディング「Makuake」「博多の辛子明太子【稚加栄・椒房庵・島本】が共演!採算度外視の世にも贅沢な味くらべ」プロジェクトページより)
気合が入った今回だけの贅沢明太子のために、稚加栄では工場長自らが極寒の北海道に出向いて、厳しい目で上質なものだけを選別したというたらこ。
そのせいでしょうか、以前、数回買ったときに感じていた「出汁が全面に出すぎ」が、今回はさほどでなく、マイルドにおいしく、仕上がっていました。
高級明太子はどうしても、大事にごはんの供として食べがちですが、出汁がきいた高級明太子で、明太子スパゲティを作ると、これがめちゃおいしいです。
稚加栄は料亭としてのわかりやすいブランド力が高いので、気が張る相手へのお中元やお歳暮におすすめ。
また明太子スパゲティのように食材として使うと、出汁の味が料理の格を上げてくれます。
出汁の茅乃舎の兄弟ブランド、国産たらこにこだわる椒房庵
椒房庵は、今回のプロジェクトで唯一、プロジェクト用特別品を作らず、ふだんから売っている明太子を出品しました。2018年に社運をかけてリニューアルしたという「あごだし明太子」です。
出汁で有名な茅乃舎(かやのや)の兄弟ブランドで、茅乃舎が久原本家の出汁ブランドであるのに対して、椒房庵は久原本家の明太子ブランドです。
「あごだし明太子」は九州には、飛び魚からとる「あごだし」文化があり、そのあごだしにこだわって作られています。そして久原本家は元々醤油メーカーとして出発しましたので、自社の醤油を使っています。
今回のプロジェクトでは「国産たらこを使う」ことにこだわっていますが、椒房庵は、元々、北海道産スケトウダラの卵を使っています。スケトウダラの卵巣は卵が成熟しておらず、ガム状になっているガム子から、真子、目付け、水子、ほとんど産卵し終えた卵巣の皮子まで、5つに分類されますが、椒房庵は皮が薄くほどよく熟した真子を使っています。
また明太子づくりにおいては、たれに数日付け込んで完了ですが、椒房庵ではさらに約2日かけて、吸いすぎたたれを抜く工程があるのが特徴。辛さ控えめで、マイルドに楽しめる明太子です。
椒房庵は福岡空港や博多駅デイトスにも支店を出しているので、わたしのように出張や観光で福岡を訪ねた人の目にも触れるところで売られていますが、基本的に福岡限定です。
東京では昨年までは池袋西武の九州展に出ていましたが、昨年買いに行ったときにうかがったら、それも昨年で終了してしまいました。
東京の各地に茅乃舎が出店しているので、そこで椒房庵も売ってくれればいいのに……。
圧倒的なたらこのおいしさで、三社中の一番に輝いた島本
このプロジェクトでは、食べ比べておいしかったブランドをSNSで投稿するスタイルで、3社の明太子の頂上が決められました。
結果は
1位 島本
2位 椒房庵
3位 稚加栄
たぶん知名度で言うと、これが逆の順番ではないかと思います。
いったい、なぜ、全国レベルでは圧倒的に知名度が低いはずの島本が味比べで一位になれたのでしょう?
島本がプロジェクトに出品した明太子は、原料から特別でした。
国産たらこがなかなか獲れず、外国産たらこでつくる明太子が大多数の中、今回の明太子のために、北海道の中でも上質とされる噴火湾で獲れたたらこを使用しています。
北海道産のしかも噴火湾で獲れるたらこは超希少。素材のプレミアム感は群を抜いています。
(クラウドファンディング「Makuake」「博多の辛子明太子【稚加栄・椒房庵・島本】が共演!採算度外視の世にも贅沢な味くらべ」プロジェクトページより)
このプロジェクトでは三社三様の取り組み方で明太子を作り、パッケージも三社三様でした。各社の明太子のパッケージと、そのパッケージのフタを開けたところの写真を載せましたが、それを見て、気づいたことはないでしょうか?
稚加栄と椒房庵は、プラスチックのパッケージのフタを開けると、いきなり切れ子の明太子。しかし、島本だけは、パッケージの蓋を開けても、明太子はむき出しにならず。さらに袋に入れられていました。
「希少なたらこで作った明太子が乾燥して味が変わらないように」という心遣いかなと思いました。
島本は常日頃から、売り方からこだわりを持っています。
直営店でのみ販売していて、駅や空港、百貨店等に卸してはいません。だから、わたしが駅や空港、百貨店で島本に出会わなかったわけです。
ふだんから国産たらこを中心に、素材を厳選している島本は、素材のうまみを邪魔しない、すっきりとした仕上がりと後味に仕立てています。明太子はかなり癖あるタレの味が前面に出ているものも多い中、島本は品のいい後味で、食べ終えた後、あのタレの味ではなく、たらこの味が印象深く残ります。
そこが明太子の頂上決戦を制した味なのだと思います。
島本の明太子は直営のオンラインストアで買えます。
おすすめはやはりオリジナル辛子明太子。
初めの人へのおすすめは「スターターセット」。
一番人気の商品はめんたいマヨ
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