2017年秋、5年に1度開催される「全国和牛能力共進会」の、業界で「花の7区」と呼ばれている7区の肉牛審査で、鳥取和牛が全国1位になり、種牛を合わせた総合評価は宮崎県に次いで2位を獲得しました。
つまり鳥取和牛が肉質日本一。ほんと、おいしいんですよお。
先日、「日本一”の鳥取和牛と新酒を堪能鳥取の自然を味わうセミナー」にお招きいただいて食べてきましたが、しつこくないおいしさ。
なぜ、しつこくないかというと、それは鳥取和牛がオレイン酸を多く含んでいるからです。オレイン酸はオリーブオイルの主成分で、脂の融点が低くて、脂の口どけがいいという特徴を持っています。抗酸化作用があり、鮮度を維持するのも特徴。
年齢と共に、脂のしつこさが苦手になり、昔はいつもお取り寄せしていた神戸牛が胃もたれして食べられなくなったわたしですが、鳥取和牛はサシがしっかり入っているのに、しつこくなくて、つい、おかわりしちゃいました。
実は鳥取県にはおいしい黒毛和牛の伝統が昔からあるんですねえ。
キーワードは日本最大の牛馬市「大山牛馬市」、ブランド牛の始祖「毛高号」、牛をのびのび育てる「大山」の自然環境と飼育者たちの思いです。
日本全国の名牛が集った「大山牛馬市」
平安時代、鳥取県の名山、大山(だいせん)にある「大山寺」の上人が「大山寺の地蔵菩薩は人だけでなく、牛や馬も守ってくれる牛馬守護の仏」と唱え、牛馬安全の守り札を配りました。それにより日本全国から、大事にしている牛や馬を連れて、お参りに来るようになりました。
そこで自然に互いの牛や馬を比べ、交換したり、売り買いするようになり、やがて、大山寺境内に大山寺が管理する「大山牛馬市」が、江戸時代にはできました。
それはどんどん広がり、明治時代の終わり頃には、1年に4回から5回もの市が開かれ、そのたびに数千頭から1万頭の牛や馬が取引される日本最大の牛馬市にまで発達しました。
昭和のはじめ頃には牛馬市の歴史に幕を閉じましたが、鳥取県は名牛が集まる場としての歴史を持っています。
ブランド牛の始祖「気高(けだか)」号
鳥取県は、大正時代には和牛の改良目標「因伯標準体型」を制定したり、日本初の「和牛の登録事業(戸籍管理)」に着手するなど、牛の質管理に高い意識を持っていました。
1966年に開催された第1回の「全国和牛能力共進会」では、鳥取和牛の「気高(けだか)号」が1等賞を獲得します。
この気高号は、生涯9000頭の子孫を残し、全国のブランド牛の始祖となりました。
鳥取和牛を育てる大山の自然と、生産者たちの熱い思い
鳥取和牛がおいしいのは、素晴らしい水と豊かな緑が広がる大山の環境と共に、生産者たちの熱い思いゆえ。
イベントの翌日、この鳥取和牛をはじめ、鳥取県産物を出す焼肉大山黒牛処「強小亭」が銀座にオープンとのことで、鳥取の大山(だいせん)で牛を育てると共に、大山黒牛ブランドを立ち上げ、強小亭も運営する西田さんがいらして、牛への熱い思いを語っておられました。
もし、なんでも願いがひとつかなうなら
「3日間だけ牛になりたい」
牛をいろいろ世話していても、本当にこれを牛が喜んでいるのか、推測に過ぎないから、牛の本当の気持ちが知りたいのだそうです。
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