醤油にこりはじめて、既に数十年。
これが現在の私の中の高級醤油のランキングです。
我が家の醤油の好みはやや甘い醤油ですが、九州の醤油のような重い甘さではなく、もう少しさらっとした甘い醤油です。

1位 「大野紫」
金沢の大野の醤油。
一メーカーの醤油ではなく、産地全体で、大野の昔ながらの醤油を復活させて作った醤油です。
甘みは砂糖や甘味料ではなく、昔ながらの糀を仕込むことで甘くしてあります。
甘いですが、九州のあまくち醤油のような、こってり重い甘さではありません。
ブリなどの脂の多い刺身などにおすすめ。
あまり甘いのが好きでないわたしは、筑前炊きなど煮物にこの醤油を使えば、砂糖やみりんがあまり必要ありません。ほんのり自然な甘さで作れます。

2位 湯浅醤油「生一本黒豆湯浅醤油」
紀州(和歌山県)の醤油。
丹波産の黒豆を使い、杉樽で2年かけて仕込んだ醤油です。黒豆の自然な甘みが感じられます。
豆腐とか、刺身とか、なんにでも使いやすい醤油です。

3位 かめびし醤油「三年醸造醤油」
小豆島の醤油。
じっくり三年かけて作られています。
安い豆腐にかけると「この豆腐、どこの!?」となる、うまみの強い醤油です。
まずは少しで試したい方はかめびし屋で少量のお試しセットから。

4位 フンドーキン「世界一木樽醤油」
大分の醤油。
このランキング中、最も高価な醤油です。麹をゆっくりじっくり発酵させるために、ギネスにも認定された世界一の木樽で、3年かけて、ゆっくり醸成しています。3年に1度しか発売されず、次の発売は2020年5月です。いま売られているものが売り切れたら、東京オリンピックの年まで買えません。
フンドーキンは九州の醤油メーカーですが、作っている醤油には「あまくち」も「こいくち」もあり、こちらは「あまくち」ではなく、「こいくち」なので、一般にイメージする九州のこってりした甘口ではありません。とはいえ、千葉の野田醤油などに比べれば甘いです。
馬刺しとかさつま揚げとか、脂っこいものへのかけ醤油に向いています。
生姜焼きとか、魚の煮つけとかも、あまり砂糖を加えずに作れます。


5位 ニシキ醤油「料亭の技さしみしょうゆ」
奈良県のこだわりをもって醤油づくりしているニシキ醤油の再仕込み醤油です。
一般的な醤油は、大豆と小麦に麹菌を加えてできた麹を食塩水で仕込みますが、「再仕込み醤油」は、その食塩水の代わりに生しょうゆで仕込みます。生醤油とは、火入れをしていないしぼりたての醤油です。再仕込み醤油は手間も材料も倍かかる贅沢な醤油です。
脂の多い刺身にはもちろん、うまみが強いので、オイスターソースと同様に、生姜焼きの隠し味などに使うのもおすすめです。
少量で十分おいしい醤油です。
価格が高いので、ついつい惜しんでいると、時間が経って、風味が落ちてしまうので、開封したら、せっせと楽しみましょう。
わたしの醤油遍歴
新婚当時、お金も買い物に行く時間もなくて、買える食材が限られていて、せめて……と調味料だけ贅沢しました。1回分にしたら、数十円の範囲で、かなり味が変わります。
最初の我が家の高級醤油は、出たばかりのヒゲタの高級割烹しょうゆ「本膳」でした。
スーパーでも手に入りましたが、「つきぢ田村」も使っていたくらいで、いい醤油でした。
やがてテレビの「どっちの料理ショー」の特選素材として、湯浅醤油「生一本黒豆湯浅醤油」や湯浅醤油「生一本黒豆湯浅醤油」に出会い、醤油をお取り寄せするようになりました。
そんなとき、連れ合いが「こどもの頃使っていた醤油が、まるでおだしでも入っているように、うまかった」と言い出しました。連れ合いのお父さんは金沢の出身で、どうやら金沢の醤油のようです。
立ち上がったばかりの醤油専門店「職人醤油」に初めて醤油を注文しました。当時はいろいろ注文、相談できたので、たくさんメッセージを書いたところ、高橋万太郎さんから電話があり、さらに話しました。
しかし
「金沢で、だしが入ったような……というと、しょっつるでしょうか?」
連れ合いに聞くと、魚醤ではないようです。
そのとき送っていただいた10本の醤油はそれぞれおいしくはありましたが、連れ合いのイメージとは合いませんでした。
やがて金沢に旅行したとき、「大野醤油」という醤油産地があることを知り、訪ねました。
そこの「もろみ蔵」で大野醤油をいろいろ味見させてもらったら、連れ合いが
「これだ!」
甘いのですが、九州のあまくち醤油のようにどろっと重い醤油ではなく、比較すると、さらりとしています。
このとき「大野紫」に出会いました。江戸時代の伝統製法を復活させた醤油です。
大野醤油は九州の醤油と同様、基本的には砂糖などで甘みをつけていますが、大野紫の原材料は丸大豆、小麦、食塩、米糀。砂糖は入っていません。甘みは米糀の力です。
大野を訪ねた一度目は少しの滞在時間で見損ねた場所が多かったので、数年後に再び訪ねて、直源の建物を見学させていただいたりもしました。
しょっぱい醤油が苦手、でも九州の甘口醤油のこってり甘い醤油も苦手という方は、このわたしの醤油ランキングでおすすめする醤油を試してみてください。
これまで30種類以上の高級醤油を試してみて、気に入ったランキングです。